白砂孔明

農学部 動物科学科 教授

「妊娠における“免疫や炎症”は善か?悪か?」

次世代を残すための様々な妊娠機構に対して免疫細胞や免疫応答が必要である。例えば、マクロファージが卵巣機能を調節して着床・妊娠を維持することや、半異物である胎児の許容には制御性T細胞が重要であることなど、その働きは多岐に渡る。母体の免疫細胞は受精卵(胚)を認識するだけではなく、精漿に含まれる父親の情報も認識することで妊娠への準備を進めることも分かってきている。妊娠が成立するためには、単純に異物を認識して免疫抑制が起きるのではなく、むしろ異物を積極的に検出し炎症性サイトカインを産生するなどの免疫応答も必要となる。一方、免疫機構の破綻や過剰な炎症性サイトカイン産生などによって着床障害、流・早産、妊娠高血圧腎症が起きる。つまり、妊娠の成立には厳密な免疫機構のバランスが重要だと考えられている。

本発表では、妊娠の成立や破綻における免疫細胞や炎症の重要性と、自然炎症を司るNLRP3インフラマソームが暴走することで炎症が惹起され、異常妊娠が誘導される事象について紹介したい。

農・動物・未来研究会

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