宮武昌一郎

生命・環境科学部 臨床検査技術学科 教授

「炎症はなぜ起こるのかー新しい疾患モデルの解析」

免疫学の進歩は、新しいさまざまな治療法の開発につながった。本庶先生がノーベル賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬をはじめとする、癌の免疫療法や多くのサイトカイン阻害薬などが、治療効果の高い薬剤として使われている。しかし、新型コロナウイルス感染症が重症化する仕組みはわかっていないなど、免疫学が解明すべき問題は多い。様々な疾患の原因が炎症であること、炎症にはいろいろな種類があることが解明されつつある。偶然、興味深い炎症モデルを樹立した。転写因子GATA3に変異を導入すると、自己免疫性皮膚炎を自然発症した。同じ遺伝子に別の変異を導入すると、皮膚炎はほとんど発症しなくなるが、腸炎など別の臓器での炎症を発症した。さらに炎症を抑制するように働いていると考えられる遺伝子を欠失させると、どちらの変異を持ったマウスも、重症の皮膚炎を発症した。様々な疾患で、炎症が起こる臓器や組織が異なっている。この疾患モデルは、炎症の臓器特異性を決定するメカニズムの解明につながる可能性がある。そもそもなぜ炎症性疾患を発症するのかも含めて、この疾患モデルを紹介したい。

農・動物・未来研究会

麻布大学と東京農業大学では共同研究プロジェクトを開始しました! 今回は2回のセミナーの実施を計画しています。 その案内、当日の様子などをこちらからお伝えします。

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